500DL記念の後日談SSになります。ヒロイン視点の小説です。
ネタバレを含みますので、ご視聴後の閲覧を推奨します。
その日の貴道さんは仕事から家に帰るなり、何だかいつも以上にソワソワしていて、私はなんとなくその横っ面を張り倒したいと思ったのだけれど、ぐっと我慢をした。
何度も彼を犯した、いつもの革張りのソファに身体を沈み込ませ、どこかくつろげない様子で身体をローテーブルの方へ乗り出している。
「どうぞ、今日もお疲れ様でした」
まるで新妻のようにテーブルにビールの缶を置くと、貴道さんは勢いよく蓋を開けた。プシュッという気持ちいい音が鳴るのとほぼ同時に、ぐっとそれを一口飲む。そしてすぐ
に、何かに気づいたように私を見た。
「おい……なんの疑いもなく飲んでしまったが、今日は変なクスリは入れてないだろうな……?」
喉のあたりを手で擦りながら、疑いの眼を向けてくる。一度や二度や三度、薬でヘロヘロにして襲ったからって心外だ。
「……まあ、ビールとかコーヒーの缶は注意したほうがいいですよね。なにか混ぜられていても見えないし、苦味で薬の味が誤魔化されるから。特に飲んだことのない銘柄は、味がわからないから何か混ざっていても気付けないですよ」
「な……っ!」
「ま、今回は混ぜてないです。貴道さんは私のこと、レイプドラッグを駆使する異常性欲者だとでも思ってるんですか?」
「…………違うのかよ」
テーブルの下の貴道さんの足を思い切り踏みつけると、痛みに身体を捩らせた。失礼な人だ。まあこういう不躾なところが可愛いんだけれど。
ふと、貴道さんのスマートフォンの着信音がけたたましく鳴った。その音に飛び上がるようにソファを立つと、リビングの隅の方へ行ってしまった。
「もしもし……ああ。俺だ」
仕事の電話ではないな、とピンときた。声色が全然違う。私はおつまみのピスタチオを雑に皿に流し込みながら、耳をそばだてた。
「いや、別に今は……大丈夫だ」
と、貴道さんはちらりとこちらの顔色をを伺うように見た。
「ほら、その……前のアレは部署のみんなでってことで渡しただろう? 一応お前は俺の直属の部下みたいなものだったから、個人的に何か渡すのもいいかと思ってな。内祝い……っていうのか? そういうのは気にするな、深い意味はないから大丈夫だ。そっちも忙しいだろうし、気にするな」
貴道さんの電話の相手はすぐわかった。私がこの会社に来る前に居た、貴道さんが好きだったという女の人。前に育休の挨拶をしに会社に来た、優しそうできれいな人。その人に何か個人的にプレゼントを渡したのであろう。彼女は、今は子供を産んで育休に入っているというが、また戻ってくるとは聞いている。
電話をする貴道さんの表情はいつになく柔らかい。何を話しているんだろう。何を贈ったんだろう。貴道さんみたいな、人の気持ちを慮ることができない人に、デリケートなベビー用品を選んで贈るなんて一人でできるとは思えない。
「はは、旦那が家で仕事してるなら安心だな。小説、買ったよ。忙しくてまだ読めてないけど。あー……まあ、アレだ。落ち着いたらいつでも戻ってこい。は? 主任、優しくなりましたね、だと? お前な、復帰したらビシバシやるから、覚悟しとけよな」
貴道さんは口の端を上げて子供っぽく笑うと、電話を切って一息ついた。そんな彼の油断しきっている腰に、私はそっと腕を回した。
「えっえっ、な………!?」
普段私からはあまり優しく触れることがない。その珍しさに狼狽して、目を白黒させている。
「電話、終わりました?」
「お、おう……」
「優しいんですね、貴道さん。育休の彼女に、個人的に贈り物をするなんて。特別な思い入れが、ありますもんね?」
つつ、と貴道さんの頬を撫でる。丁寧に手入れされた髭一つない肌だ。
「そ……そういうわけじゃないぞ。いやほら、あいつはそもそも既婚だし! お前にもちゃんと、誕生日にはちゃんと買うから、そんなヤキモチ妬かなっ……痛えッ!」
頬に軽いビンタ。ヤキモチ? 私のこの感情がたとえヤキモチだったとしても、わざわざ口に出して言うなんて野暮すぎて、ぶん殴りたくなる。そして、ぶん殴った後はもうだめなんだ。
痛そうな顔をする貴道さんの顔を見ると、子宮のあたりがじわりと熱くなる。
「ちゃんと、通話切ってます? じゃないと、貴道さんの可愛い声をあの人に聞かれることになりますよ?」
やわやわと、お尻を撫でた。ズボン越しに割れ目をなぞる。それだけでひくん、と身体が跳ねた。
「な……っ」
「彼女から電話がかかってくるから、ソワソワしてたんですねえ。ふぅん……外で電話すればいいのに、私に聞こえる場所で電話して見せつけてるつもりですか? もしかして……嫉妬してほしかったんです? 嫉妬して怒った私に、めちゃくちゃ恥ずかしいおしおきされたかったんじゃないですか?」
「そんなわけないだろ!」
貴道さんの耳は真っ赤だ。ああ、さっさと押し倒して蹂躙してしまいたい。……でもだめだ。貴道さんたら『おしおき』の一言だけで期待しちゃってる。脱がされて、おちんちんをしごかれて、お尻をぐちゃぐちゃにされることを、もう考えちゃってる。
私は、自身の調教の成果に感動を覚えた。こんなに、大の男が頬を染めていやらしい指示を待っているだなんて。服を脱いでもいないのに、とてもエロチックだ。
「まあまあ、おつまみも用意してますし。ビール飲んでください。おかわりもありますし」
私が促すと、少し怪訝な、物足りなさそうな顔でビールを一缶飲み干した。
「あの、なんだ。すまなかった、ほら向こうも赤ちゃんが寝たタイミングでしか電話できないだろ? だから……」
「ふうん…? 貴道さんも赤ちゃんのこと気にするんですね、意外」
私はソファに座る貴道さんの太腿を、自分のつま先でツーッと撫でた。びくんと身構える貴道さんは、これからのことを想像しているんだろう。
「前にも言いましたけど、どうでもいいんですよね。貴道さんが彼女のこと未だに好きだろうが、わたしには関係ないので」
関係ない、どうだっていい。だって人の心はどうにもできないから。貴道さんの心の中にいる彼女を完全に消し去ることなんてできない。だから、私は身体で繋がる。快感で溺れさせて、離れられなくさせるのだ。
「貴道さんはこんなふうに私と一緒に住んで、恋人気分で忘れてるかもしれないけど、私たちは主従関係なんです。私は……私は、あなたをいじめて楽しみたいだけ。ね?」
こんなふうに。と足先で無理矢理開かせた股間をなぞる。ズボンの上からでも、やんわりと勃起し始めているのがわかる。貴道さんは、反射的に足を閉じようとした。
「開きなさい」
「い……いやだ、そんな、まだシャワーだって浴びてないのに……」
目を逸らし、心底恥じ入るように足を閉じる貴道さん。すこしは従順になったとはいえ、スイッチが入るまではプライドが捨てきれないらしい。そこがそそる、たまらない。
「ふふ……仕方ないですね。じゃあ、こんなのはどうですか? シャワー浴びてないなら、下を触られるのは恥ずかしいですよね?」
白いカッターシャツの上から、さわさわと胸筋を撫でる。細身なほうだが胸囲はわりとありそうな、筋肉のついた胸。その皮膚をやんわりと揉んでゆく。
「おいっ……」
「ふふ、貴道さんが赤ちゃんのことばっかり言うから。わたしもおっぱいほしくなっちやいました」
まずは、手のひらで柔らかく。まだ主張していない柔らかい乳首を、指の腹で撫でる。ひくりと腰が震えて、脚が閉じそうになるのを、乱暴に膝をねじ込ませて開かせる。下半身に触れていなくても、脱がせていなくても、そうすることで彼の羞恥心を煽ることができる。
シャツのボタンを一つ、二つ外す。期待で小さな吐息が漏れる。でもまだだめ。女の乳を揉むように、シャツ越しに彼の胸をきゅうっと持ち上げる。
「……う……」
「ね、貴道さん? 私も赤ちゃんみたいにおっぱい、飲んでいいですか? この、逞しいのに柔らかい、敏感なおっぱい」
「や……嫌に、決まってるだろ……」
「あら、そうですか? シャワー浴びてなくて、お尻とか触られるの恥ずかしいって言ったから……気を遣ってあげてるのに」
「そ、そもそも触るな……ッあ、あンっ!」
突然右の乳首を生でピンと弾かれて、身体が跳ねた。貴道さんは右のほうが感じるんだ。
「あん、だって。可愛い……次は、こうして……」
両方の乳輪のまわりをくるくると撫で回す。ふっくらと固くなってくる乳首が、刺激を待っている。でも、まだまだ触らない。
「んん……ん…」
「もじもじしてる。ね、わかります?貴道さんの乳輪、ぷくってなってるの。ふふ……」
「や、やめろよ……いいから、はやく……」
「はやくいじめてほしい? だったら、おっぱい、ちゅっちゅしてくださいって言いなさい」
ふに、と摘んだ小さな乳首はまだ柔らかい。しかしみるみるうちに硬さを帯びてくる。可愛い、可愛いわたしだけの乳首だ。
「んっ、あ……はッ……。はは、お前、今日はいやにこだわるじゃないか? え? 俺があいつと電話してたのがそんなに、気に入らなかった? なかなか、可愛いところあるじゃないか……っン……っぁぐ、やっ……!」
力の限り、両乳首をひねり上げる。貴道さんは流石に苦痛を顔に滲ませている。ああ、この人はいつの間にこんな生意気なことを言うようになったんだろう。傲慢だった彼が戻ってきたみたいで、とてもいじめたくなる。
「……ふふ。優しくおちんちんでいかせてあげようと思いましたけど、気が変わりました。今日は、泣くまでおっぱいで弄んであげますから。覚悟してください」
「……ッ、いや、もう……やだ、いや……!」
「だめですよぉ、まだ1時間しか経ってませんよ」
シャツの上からこすり続けた貴道さんの乳首は真っ赤で、もう明日はブラジャーでもしないと出勤できなさそうだ。
「謝る、謝るから……つねらないで、こすらないで……あっ、あ゛! 胸、もうだめ、だめ……!」
「気持ちいい?」
「いいっ、いいから……! 苦しい、お願いします、ちんぽが、苦しい……っ!」
スラックスの上からわかる、カチカチのペニス。その先はきっとびしょびしょに濡れていることだろう。私は、飽きもせずに布越しに擦り上げる。
「やだぁ、やだっ……! もう、や、お願い、なあっ、なあっ…! 言うからぁあっ!」
「んん? なんですか?」
「お、おっぱ……おっぱい、ちゅっちゅ……して、してください……ちんぽも、擦りたいよぉっ……!」
「……上司のくせに恥ずかしくないんですか? そんなこと言って」
「な……っ、恥ずかしいに決まってるだろ……! あ、あ……! 爪、たてないで……っ!」
可愛らしいおねだり通り、シャツ越しにチロチロと乳首を舌先でつついた。ビクン!と身体が反応する。頬も耳も真っ赤になって、涙目になっている。
両乳首を柔らかくシャツ越しに舐めると、キュッキュッと引っ張る。
「ん、ああアッ! ぅ、う……」
「おっぱいで感じて、いつの間にかほんとに女の子になりましたね? 今日は胸でイくまで、許しませんから」
透けた赤い乳首を指先で潰すと、貴道さんはふるふると首を振った。
「む、無理……やめ……」
「さ、おっぱいちゅっちゅしましょうね?」
私はシャツを開くと、これ以上ないくらい勃起した左乳首に、食らいついた。
「!! っあ、や………あっ、あ! だめ、ひ…………っ!」
同時に右乳首も捏ねると、貴道さんの腰は面白いほどに跳ねた。
「や、やんっ……っ! だめ、ほんとに、胸…………っ」
「胸じゃないでしょう? いつもみたいにエロく言いなさい」
「やだ、やらあっ……おっぱい、ぎ、ぎもちよくて……っ! そっち、こねこねもだめで、俺、俺……あっあっ……!」
舌を寝かせるように広く優しく舐めると、とろとろととろけるように柔らかくなる乳首。そこにいきなり歯を軽く立てると、貴道さんはヒッ、と情けない声をあげた。
「痛いのも、大好き?」
「ひゃ、……いや、だァ……っ」
「貴道さんの嫌、って、『もっともっとして』ってことですよね?」
「頼む、ほんとに、ほんとに………あ、あっ痛……やァ……っ、んーっ!」
涙を滲ませて体を震わせる貴道さん。縛り上げてもいないし、逃げようと思えば私を突き飛ばして逃げることもできるのに。それをしないのは、よほどいじめてほしいのか、それとも……。
「ねぇ、私ね貴道さんのこと、好きですよ」
「え……っ!?」
驚いた声をあげた貴道さんの右の乳首を、思い切り吸い上げて、舌でこね回した。
「あっあっあ!? や、やめ……っ! ヘン、それ、変だ……! じわって、熱くて、胸、あっ、おっぱい……やだっ……! イ……いく!」
「いいれすよぉ、いっへも。一回こっちでイケたら、はんふぁい側も、ね?」
ビクン、ビクン! と彼の腹筋が震えた。イッてしまったのだろうか。そこそこ分厚い生地のスラックスなのに、先走りなのか精液なのか、じっとりと濡れている。
ハァハァと荒い息をつく彼の胸から唇を離す。涙が切れ長の目の縁から流れている。イッたばかりの右の乳首を、コロコロと撫でるように指で転がした。
「あ゛ーっ!? やめ、今、だめ……っ!」
「んふ……好き、って言ったらビックリしてイッちゃいました? 可愛い……」
「あ……あン……っ、だって、そんな急に……っ、や……もぅ、もうやめろよおっ……っ」
さすがに胸を隠すように身をよじる。私は彼の、頬を叩いた。
「グ……っ!」
「好きですよ、可愛いじゃないですか。従順な犬とか、たまに気まぐれな猫とか。貴道さんも、同じ……」
「あ…………」
柔らかく、両手を開かせた。赤く腫れ上がって痛々しいほどの愛撫の跡がそこにある。きゅうきゅうに張り詰めた下半身が窮屈そうに涙を流している。
「言うこと聞きなさい。……あなたが誰を想おうと、あなたは私のモノですから」
ピンピンと両乳首を弾くと、貴道さんは唇を噛み締め、声も出さず頭を振った。
「さぁ、自分で胸を……そう寄せて。何て言うか、わかりますよね?」
「……っ! ………いじめて……く……」
「聞こえません」
私は彼の髪を掴んで顔を上げさせた。あまりの恥ずかしさで泣いているのだろうか? 涙に濡れた目が赤い。
「……おっぱい……たくさん、つねったり、舐めたり……してください……。イカせて、泣かせて……っ! 俺は……お前の、もの……だから……だから……」
私は、その言葉に満足をして、音を立てて乳首を吸ってあげた。貴道さんは敏感になっているのか、それとも素質があるのか、しばらくするとまたすぐにイってしまった。
……私は、貴道さんが好きだ。犬だとか猫だとか、そんなの嘘に決まってる。人として好きだ。最近自分でもそれに気づいてしまった。でも、言わない。言えない。
彼はきっと、今はこんなでもいつか、真っ当な幸せを求めると思うから。それこそ、結婚した彼女たちみたいに、赤ちゃんがほしいとか言い出すに違いない。
そうなったら……その時は私は、そっと彼の前から姿を消そうと思っている。私には、彼と幸せになる未来なんて見えないし、資格もない。こんなにひどい目に合わせて。
でもそれまで、いつまで続くのかそれはわからないけれど、享受したい。愛おしくていやらしい、彼の身体を、心を。もて遊ぶ権利が。他には何もいらないから、ただ私は欲しいのだ。